管理者のための「ため池点検マニュアル」
ため池管理者さん向けに、日常点検をする上での点検ポイントをまとめています。
異常を見つけた時や何か不安を感じられた時はため池サポートセンターへご連絡ください。
1 点検のポイント
・異常があった場合だけではなく、経年変化を把握するためにも、写真やメモなどこまめに記録・保存してください。
・補修や改修をおこなった場合は、作業内容を記録してください。
・豪雨の発生が予想される場合は、事前に水位を下げてください。
(参考)事前に水位を下げる場合の目安を記入してください。
①ため池栓の上から○番目で管理する。
②洪水吐から○m下げて管理する。
2 施設毎の点検ポイント
① 堤体
・堤体は、基礎地盤上に築造された、ため池の本体です。
・用水を貯留するための施設で、決壊を防止するためには、強度の維持が必要です。
・亀裂や陥没、漏水が発生していないかを中心に点検してください。
①雑草が繁茂していないか
②堤体に沈下・段差・亀裂・陥没・崩壊はないか
③貯水池側の法面が浸食されていないか
④下流側の法面が「はらみだし」していないか
⑤下流側の法面・法尻から漏水はないか
⑥構造物との取付部にズレ・隙間・陥没はないか
⑦護岸ブロックに剥離・亀裂はないか
⑧遮水シートに劣化・たるみ・破れはないか
② 洪水吐
・洪水吐(または余水吐)は、貯留できない余剰水を安全に流下させ、貯水位の異常な上昇を防止する施設です。
・堤体と洪水吐の間で、漏水が発生していないか確認してください。
・ゴミ・流木・土砂が堆積して通水が阻害されていないか点検してください。
①沈下・段差・亀裂・陥没・破損はないか
②漏水はないか
③ゴミ・流木・土砂が堆積して、通水が阻害されていないか
④通水阻害となる「せき上げ」がされていないか
③ 取水施設(斜樋)
・斜樋は、ため池の貯水を取水するための施設です。
・豪雨の発生が予想される場合には、事前に水位を下げるためにも利用します。
・斜樋栓の操作が適切に行えるか点検してください。
①沈下・段差・亀裂・陥没・破損はないか
②周辺が浸食されていないか
③劣化・開閉操作に支障はないか
④ゴミ・土砂が堆積して、取水が阻害されていないか
④ 取水施設(底樋)
・底樋は、斜樋からの取水を堤外に導水する施設です。
・斜樋・底樋栓を閉じた状態で、底樋内や周辺から漏水がないか点検してください。
①破損はないか
②漏水はないか
⑤ 管理道路・安全施設
・管理道路は、ため池への唯一の経路となっている場合もあります。
・路面や路肩の損傷など、通行の阻害状況を中心に点検してください。
①雑草繁茂・路面の窪み・崩れにより、通行に支障はないか
②フェンス・注意看板の損傷はないか
3 異常気象時の点検
・異常気象時は、ため池の異常をいち早く発見し、応急対策を行い、被害を最小限に止められるように点検してください。
[参考]ため池の被害が懸念される主な異常気象の目安
①豪雨・・・時間雨量20mm以上、日雨量80mm以上
②地震・・・震度4以上
①事前の水位低下措置がされているか
②貯水位が異常に上昇していないか
③洪水吐の通水が阻害されていないか
④斜樋栓の通水が阻害されていないか
4 緊急時の対応
① 連絡体制
・ため池に被害が発生した場合には、被害の拡大・二次災害防止のため、応急対策を実施します。
実施にあたっては、作業員の安全確保を第一として、速やかに関係の市町に連絡してください。
② 応急対策
①決壊の恐れがあるため、直ちにため池の水位低下措置をしてください。
②被害拡大防止のため、水位低下措置と堤体を保護するシートや大型土のうなどを設置してください。